あれはまだ、若かりし頃のこと。
18歳ぐらいかな?
喫茶店でアルバイトをしていました。
本業は、違う。
そう思えば、昔から掛け持ちで仕事していた私。
あの日。
マスターと二人きりだった。
お店の食材が切れてしまったのと、銀行に行ってくるから留守番しててと。
マスター。
どうせ、暇だから大丈夫だよ。
すぐ帰ってくるからね。
と、いって出かけて行った。
しばらくしたら、ドアチャイムの音。
カランコロンと鳴って、お客様が入ってきた。
お水を出して、メニュー表を渡して。
おしぼりも出して。
ここまでは、いつも通りだった。
「注文、いいですか?」
明るく、声をかけてくれるお客様。
男性で、自分の父親と同じくらいの年齢かな?
気品のある感じ。
きちっとした、スーツ姿だったからね。
でね、
「ウインナーコーヒー、一つお願いします。」
にこやかに言う。
私は、メニュー表を下げて、キッチンに立った。
・・・わからない。
ブレンドコーヒーなら、できてるし。
でも、ウインナーって言っていた。
どうしよう・・・
そういえば、冷蔵庫にナポリタンに入れるウインナーがあった!
あれを入れるの?
でも、ウインナー入れたら・・・コーヒーギトギトだよ。
きっと、違う。
わたしは。
赤いウインナーを二つ。
たこさんにして、フライパンで炒めて・・・
コーヒーとは別に、小皿に載せて、お客様に持っていきました。
お客様「・・・」
でもね、
「ありがとう。」
って、コーヒー飲み始めました。
で、
また、
カランコロン。
今度は、マスターが帰ってきて・・・
カウンターにいるお客さんのたこさんウインナーにくぎ付け。
何にも言わずに・・・本物のウインナーコーヒーを出してました。
生クリームがたっぷり入っているやつ。
たこさんウインナーじゃないんだ!
私は、お客様に「ごめんなさい」と、
謝っていました。
怒られるどころか、笑ってた。
マスターも、爆笑。
そのお客さんは、その後も時々来てはウインナーコーヒーを飲んでいきます。


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