アラビン、どびん、……

ひとり言

これは、私がエステティシャン修行中の時のこと。

都内のサロンへ、毎日電車に揺られて通勤。

住んでいるところが田舎だから。

2時間は、かかる。

で、

修行中。

店の準備から、後片付け。

そうじは、私の仕事。

だから、毎日始発。

そして、帰りは終電。

電車の移動中は、ずっと勉強。

エステの施術を自分でメモを取ったものを見ながら、イメトレ。

自分の世界に入りこみ、手を動かしている。

ノートを見ながら。

…今、思えば。

だいぶ怪しい人。

朝から、濃い化粧。

髪は、いつもやかい巻きのアップ。

その頃の私は、高いヒールを履いていたと思う。

夜のお姉さんさんに近いけど、少し違う。

電車の中で、同業者に合うとすぐにわかる。

お互い、チラチラ見合う。

わかるんだろうね。

毎日、始発終電の日々。

あの頃は、3日寝なくもへっちゃらだったけど。

今は、違う。

毎日、寝ないと頭が回らない。

あの頃のこと。

それでも、明日は休みという日は、終電の中で気が抜けてしまう。

寝てしまう。

その日も、寝てしまった。

電車の中も、一人減り。

二人減り。

段々、人が少なる。

カタン。

駅に着く音で目が覚める。

まだ、後1時間はかかるな…と。

うとうとしていた。

私のあいむかいに座っているおじさんも寝ている。

しかも、ぐっする眠っている。

おじさん。

頭をボリボリかきはじめた。

私が頭をかくとき。

かゆいのは頭皮。

きっと、みんなそうだと思う。

このおじさん。

額と前髪の境に手が消えていった。

んっ?

なんか、おかしくない?

髪の毛。

帽子のように…少し浮き上がった。

えっ?

私は、完全に目が覚めた。

今。

たぶん、みちゃいけないものを見てる。

しかも、初めての遭遇。

おじさんの手は、帽子の下に完全に隠れた。

そして。

帽子。

ずれてる。

おじさんのひたいは、どこまでもつながっている。

どうしよう。

このままだと、おじさんの帽子は落ちてしまうのではないか?

と、

ハラハラ、ドキドキ。

その時。

電車は次の駅に着いた。

おじさん。

スッと立ち上がり、駅を降りて行く。

私は、大丈夫なのか?

家に着く前に落としてしまうのではないか?

もしも、落として交番に取りに行くのは…。

色々、想像してしまった。

気づけば、電車の車両の中には、私一人。

さっき見たものを…イメトレしていた。

おじさん。

大丈夫だったのかな?

と。

ちょっと心配になりました。

あの頃のわたし。

しゃかりきで頑張っていた。

きっと誰かに心配されていたかもしれない。

私が、おじさんを心配したように。

そして、一番つらい思いをさせてしまったのは、子供たち。

まだ、小学生だった息子たち。

始発の電車はいつも同じ顔ぶれ。

ノートを見ながら、必死で勉強をしていた。

でも、あの必死さがあったから、今の私がいる。

私の大切な家族。

ありがとう。

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