「きみは、石の声が聞こえるんだね」
と、
言われたことがあった。
昔、昔のこと。
離婚して、仕事をたくさん掛け持ちしてしていた。
夜のお店もその時、ちょっとだけ。
アルバイトをしていた。
三ヶ月。
キャバクラ。
そうは言っても・・・
ヘルプというポジションだった。
先輩は、ありえないぐらいグラスに氷を入れて・・・
その上から、お酒を入れて、お水を入れる。
ふーん。
あんなに山盛りだった氷が一気に溶ける。
すごい!
そうやって、作るんだ。
見よう見まねで、作った。
その頃の私の源氏名は・・・
「ほのかちゃん」
なんで、その名前にしたのかは、忘れた。
でも、少ししてから友達もアルバイトしたいと言って、入ってきた。
で、
彼女は「あかりちゃん」
まあ、今思うとね。
二人とも・・・ぼんやり灯っていた感じ(笑)
だって、
メインにはなれないから。
そして、
「ほのかちゃーん、○○テーブルのヘルプお願いね!」
と。
行ってみれば、何やら大きな鞄を抱えているおじさん。
私は、その人のお気に入りの女の子が来るまでのつなぎ。
挨拶をしてから、お酒を作る。
そうしたらね、
「ちょっと見てくれる?」
と、おじさんは大きなカバンから色々な石を取り出した。
どれも、丁寧に布に包まれている。
私は、きっと目を輝かせて見ていたと思う。
身を乗り出して、石を見ていたから。
「これね、僕の商売道具なんだよ」
という。
「これでね、若い子をだましているの」
と、ニヤリと笑った。
(サイテーだ!)心の中でそうに思った。
そして、鞄の底から大事そうに箱に入った石を取り出した。
そして、私の手の上に乗せるとね、
「この石、どう思う?」
と聞かれた。
正直に答える。
「この石ね、寂しい。悲しいって言ってるよ」
と。
おじさんは、丸い眼鏡の奥のゴマ粒のような眼を見開いていた。
「わかるの?すごいな!この石ね、ずっと売れ残っているんだよ。」
「そっか。みんな友達が売れていくのに売れ残っちゃたから。寂しかったんだね。」
おじさんは、また、違う石を見せる。
「この子、もしかして・・・捨てられてたの?」
「なんで、そうに思ったの?」
「だって、助けてくれて、ありがとう。って、言ってるよ。」
「そうなんだよ!よくわかったね!俺が、街中で拾ってきたんだ。」
と。
汗を拭きながら話してくれた。
その時、
「お待たせー。」
と、しなを作った声と一緒に豊満なボディの女性が現れた。
おじさんは、目がハート。
私は、そそくさと席を離れた。
キャバクラというところは、変った客が多いんだな。
と。
社会勉強になりました。
私は、3ヶ月しかいなかったけど、そのおじさん。
見たのは、一度だけだったなぁ。
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