おひげのおじいちゃん

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ジングルベル、ジングルベル・・・鈴が鳴る♪

サンタクロースを思わせるよな、白いひげをタップリ蓄えたおじいちゃん。

でもね、この方。

なかなか・・・どうして。

かなりのくせ者。

職員への好き嫌いは、激しくて(笑)

私も、最初は嫌われて煙たがれていました。

そして、

最後まで名前を覚えてもらえなかったけどね。

『ちっこいの』と、呼ばれてました。

中には、夜勤だけで来る女性に職員のことを・・・

『ばいた』と。

最初、何を言っているのか?いみがわからなくてね。

「あの、ばいたは今日はいるのか?」

と、いわれて。

「どうしたの?歯が痛いの?」

と、聞き返すと

「あっ?もういい!」

と、怒り出して、しっしっというようなしぐさをしてね。

仕方ないから、退室。

その日の私は、夜勤。

そして、相方の女性にさっきあった出来事を話すとね。

「あたしのことをそうに言うんだよ!本当に頭にくる!」

と。

で、『ばいた』って何?

意味がわからない。

もう一度、相方の同僚に聞くと・・・

「あんた!!そんなことも知らないの!!」

「娼婦のことだよ!!私が、夜勤専門だからって、そういう言い方するんだよ!!」

ああ。なるほどね。

そういうことか・・・。

今日は、というか・・・今日もずっと怒っている相方。

一晩中・・・怒られてる私。

そして、

「私は、あいつの所にはいかないからね!就寝薬、持って行ってね!」

と。

・・・怖い。

「失礼します。お薬持ってきたよ。」

と、おじいちゃんの部屋に訪室。

おじいちゃん、着ている洋服やシーツも可愛い。

プーさんとか不思議の国のアリスとか。

そして、何で白いひげを伸ばしているのか?

それはね、サンタクロースの格好を毎年したくて・・・伸ばしてるんだよ。

私には、こっそりと教えてくれたんだ。

そう。

私が入社したばかりのころは、口もきいてもらえなかった。

でも、何かをきっかけにして変わったの。

なんだったかな?

多分、おトイレ介助だったような気がする。

困っているおじいちゃんを偶然見つけて、助けてあげたことがあった。

それからだったと思う。

そして、おじいちゃんのお誕生日。

コーラを毎日、飲みたい!

と言われ、予算目一杯コーラを買って、毎日、飲んでた。

おじいちゃんのやってほしいことをしてあげたからかな?

口をきいてもらえるようになったのはね。

そして、この人。

北海道で、マグロ漁船の漁師をしていたんだって。

だけど、生まれは九州だそう。

前に、九州の友人に教えてもらったことがあった。

九州男児なら絶対喜ぶ言葉があるんだよ!って。

その魔法の言葉。

「武者、よか」

おじいちゃんが煙草を吸っている時、いってみた。

よーく聞こえるように、耳元でね。

「武者、よかね!」って。

そうしたら、

にーって、歯を見せて笑ってたよ。

私は、意味はよくわかっていなかったけど・・・

すごく嬉しそうにしていることが、嬉しかった。

それから暫くして、

おじいちゃんの転居が決まりよその施設へ移動。

私のところは、元気になったら卒業なんだ。

ホスピスの老人ホームだからね。

おじいちゃん。

あまり元気そうではなかったけどね。

『歯いた』の夜勤者は、喜んでた。

世の中。

色々な人がいるから。

あう、合わないは仕方ないと思う。

だけど・・・仕事だから。

そして、介護士は人のお世話をする立派な仕事だと思ってる。

仕事、そのもののプライド。

それは、大事。

だけど、自分自身のプライドは最低限でいい。

『ばいた』と呼ばれたら、私もいやな気持になると思う。

そんないいかたしないで。と、私なら泣いてしまうかもしれない。

夜勤者の気持ちを思うと、そうに思う。

だけど、怒らないやり方も・・・あると思う。

怒りの感情は、よいことも含めて焼き尽くしてしまうことがあるからね。

抗がん剤の薬みたいに。

良い細胞まで攻撃してしまう。

そして、周りの人までも時として巻き込んでしまう。

『怒りの感情』は、取り扱い要注意です。

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