「マイマイさん、私休憩行くから食介変わって。」と声をかけられて食事の介助を変わった。
居室で食事を召し上がっているB様。
パーキンソン病で尚且つ全身にがんが転移している。
まだ、60台と若い。
少し前までは、いつもノートパソコンで何かをしていた。
「何してるんですか?」と尋ねると、
「遺書、書いてるんだ。財産分与のこととかね。」と静かに話される。
元々、ぼそぼそしゃべる人。
わたしは、耳が少し遠い。
なので会話の半分は、感覚で聞いてる。
大事なことは、何度も聞き返してしまうこともあるけどね。
目と鼻は異常にいいけど、耳はあまり良くない。
人間って、きっとそんな感じバランスをとっているように思う。
食事の介助を変わり、B様の部屋へ行く。
「ご飯、召し上がりますか?」と声をかけるけど、手をユラユラしながら返事がない。
しばらく、手の動きを眺めていた。
ユラユラしてる。
だんだん眠くなってきた。
海の中でワカメがユラユラしているように見えてきた。
食事は召し上がらず、スープと炭酸のジュースだけ召し上がる。
介助をしようとしても、
「自分でやる。」と話される。
ユラユラしながら、スープを召し上がる。
「スープの実が食べたい。」と言われ、スプーンをもってくると、
クルトンをすくって食べていた。
ずっと、ユラユラしながら。
わたしは、もう完全に寝そうだ。
B様「ここ、グッと押してくれる?肩甲骨のところ。」と、肩を指差してくるので、
指圧をする。
元々、エステティシャンの私。
マッサージとか指圧とかは、得意分野。
でも、Bさんに指圧をすると一気に疲れて眠くなってしまった。
「疲れちゃったから、もう、おしまい。」
と、言うと
「ずいぶん、手抜きだな。」と言われる。
「食事、召し上がりますか?」と声をかけるけど、無言でユラユラ。
職員が休憩から戻ってきて、
「マイマイさん!!!まだ、終わってないの?薬は?」と、腰に手を当てて吠えていた。
間違いなく、口から炎が出ている。
私は、眠すぎて(言えないけど)
「ご飯食べなくて、スープとジュースだけなんだよね。」と話す。
「何時間かかるんですか?薬だけでも、飲ましてください!」と職員はいうが、B様。
一口、スープを飲むごとに胸を撫でている。
飲み込むのが辛そうだった。
そのことも、職員へは伝えるが…聞いてない。
「私が変わりますから、休憩行ってください!後がつかえるんです!!」
と、吠えていた。
あのままの勢いで、Bさんの食事介助に入ることはねえ…。
かわいそうだなあと思ってしまう。
夕方、食堂のテーブルの上に誰のかわからないズボンがたたまれいた。
名前が書いてない。
私は、思わず匂いをかぐ。
これは、Bさんの匂いだ。
間違いない。
Bさんの部屋と同じ匂い。
ほかの職員数名に、ズボンの持ち主を尋ねると、Bさんのもので間違いない事が判明。
私は、色々な匂いがわかる。
病気の匂いも。
夕食時、Bさんが飲み込むことが辛く、痰吸引をすることになった。
Bさんの部屋に看護師や介護士がわんさかいて、にぎやかだった。
遠巻きに私は、見ていたが、お昼の薬も錠剤のままで吞んでもらったみたいだからね。
それもよくなかったのでは?と、私は思う。
硬くて、つっかえやすいから。
そして、お昼に吠えていた職員。
Bさんをガッチリガードしていた。
痰吸引のスタンバイOKだ。
Bさんは、ノックアウト寸前な表情。
私は、知っている。
後、5分残れば残業がつく。
その職員は、私に以前15分単位で残業がつくから。
後、5分いさせてと。
私に言ったことがある。
今は定時、10分すぎ。
あと5分で残業がつく。
だからか!と思ったが、私は、定時でとっとと帰ってきた。
わかめのユラユラ。
見ながら、少しでも元気になって、一日でも長く生きてください。と。
お昼の時に、心の中でつぶやいたことを思い出していた。


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