彼女は、大抵不機嫌そうに見える。
朝なんて特にそう。
「おはようございます。」
と声をかけても、
「……。」
あれぇ、聞こえなかったかな?
では、ロッカーからの出待ちで、
「おはようございます!」
と、大きな声で言ってみる。
(あっ?なに?)と顔だけあげて言う。
「おはようございます…。」
ぼそぼそしている、小さな声で。
朝の挨拶大事だと思うんですけどね。
まあ、まあ。
顔色、悪いし。
低血圧なのかな?
何だか辛そうだから、仕方ないな。と思う。
私は推し活ならぬ、あいさつ活動。
なんていうんだろうね?
とにかく誰でも道ですれ違ったら、挨拶してる。
特に、仕事に行く時と帰り道。
ご近所さんは、大事。
時々、お野菜のおすそ分け、もらうこともあるしね。
道端でもらう。
職場でも、もらう。
しかも、私だけだったりする。
会社に、なにかもらいに行ってるのでは?
と思うくらい、おみやげいっぱいの時がある。
カマキリ子。
好きな男性職員がいると、途端に声が大きくなる。
私は、ここにいる。
というアピール。
なのかな?
その男子。
カマキリ子さんが、自分を好きなことをよくわかっていらっしゃる。
まるで、猫のよう。
猫というより、クロヒョウだな。
カマキリを、ちょいちょいとやって転がしている。
時々、ふんずけているようにも見えるけど。
カマキリは、まんざらでもなさそうだ。
うれしそうに、笑っている。
あれって、好きな女子にしているのと違う感じがするけど。
と、遠巻きに見ている私。
お菓子を食べて、スマホを見て。
今は、仕事時間では?
それだけ、平和だってことなんだよね。
のんきな職場だ。
カマキリ子。
休憩時間には、自分の分しかお湯を沸かさない。
何なら、人の分を使ってしまう。
デリカシーは、ない。
話す言葉も汚いから。
そういう、人なんだなーと思う。
人を責めるのは好きだ。
私のことは、あまりよく思っていない。
知ってる。
でも、知らん顔で仕事をする。
私は、遊びに来ているわけではない。
仕事に来てるから。
そんなことは、ちっとも気にならない。
カマキリ子が、一生懸命に犯人探しをしていてね。
私だろうと当たりをつけて話してくるんだけど、
「私は、マイさんに言いてるんです。きいてますか?」
と、
いわれたことはないので。
はい。
聞いてません。
私の隣にたまたまいた男性職員がアタフタしながら、答えてる。
カマキリ子は、私を見てるけど…
私は、無。
何にも言わない。
無言でカマキリ子を見てるだけ。
そう。
私は、知っている。
カマキリは、獲物が動いたら捕食する。
だから私は、獲物にならない。
反応が見たいのだ。
動揺する姿が。
だから、動揺しない。
そもそも関わらない。
それが一番いいと思う。
名指しで指摘されたら、動くけどね。
そしてカマキリ子は、捕食出来なかったから、違う獲物を見つけに行く。
帰宅の時間。
カマキリ子は、元気だ。
朝の態度と一変してる。
大きな声で、騒いでいる。
カマキリって、夜行性だったと思う。


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