介護職員の仕事には、口腔ケアというのがある。
食事が終わると、順番に洗面台へお連れして、歯磨きのお手伝い。
歯ブラシに、チューブをつけるんだけど…
これが、とても個性的。
たくさんつける人、少ししか付けない人。
中には、その歯ブラシ取り換えたほうがいいのでは?
というくらい、ブラシのところが開いている人。
でも、月に一度は全員の方の歯ブラシを取り替える。
よく観察していると、その方。
歯ブラシをガシガシ嚙んでる。
そもそも、歯ブラシの使い方が違う。
3回も使えば、一年以上使っているのではないか?
と思うくらいボロボロになる。
チューブをつけるのを手伝ったりしてたけど、
「つけすぎだよ。もったいない。」と怒られたり。
「もっとつけろ。そんなんじゃ、汚れが落ちるわけないだろう!自分でやるから、よこせ。」
と、歯ブラシにチューブをこんもりつける人。
そもそも、K様。
歯がありましたっけ?
でも、磨いてる。
歯茎が丈夫になるからいいのかな?と思った。
そして、T様。
この方の息子様。
有名なプロレスラー。
時々、施設に来られるが身体は大きい。
(私は、お相撲さんだと思っていた。)
T様。
「私は、全部自分の歯なのよ。」とおしゃっていた。
(ふーん。すごいな。きれいな歯並びだよね。…不自然なくらい。)
で、歯磨きのお手伝いをしていた時のこと。
普通、年齢がいくと歯茎が下がる。
なので、歯と歯の間に隙間ができる。
インプラントの人も今ではみれば、分かる。
でもね、T様。
隙間が全くない歯並び。
(もしかして…入れ歯じゃね?)
私は、「Tさん、ごめんね。ちょっと、口の中見せて。」といって、口の中に手を突っ込む。
パカっと外れた。
上下とも、入れ歯。
その場にいた先輩職員がびっくりしていた。
「えっ?Tさんって、入れ歯だったの?知らなかった…。」
T様。
3年前にこちらの施設に入所された。
3年間、一度も入れ歯を外したことがなかった…。
(・・・。)
言葉が出ない。
当時の私は、介護士になって1週間位のことだった。
今なら分かる。
入所をされるときは、事前に情報がくる。
そして、そこには自歯 or 義歯の欄がある。
(汚い…。いい加減。)
T様。
ポリデントを購入してもらった。
そして、夜勤中のコールに出ると
「歯がなくなちゃったのよ。」と、不安そうな声。
「あんたのせいで仕事が増えたからね。」という先輩職員。
なんか違う。
と、思いながらも新人の私は、「すみません。」というしかなった。
お食事中の方が、読んでいたら申し訳ないです。


コメント