そして、別の日。
また、お風呂の介助。
ばあちゃんの部屋にお迎え行って。
今日は、間違えないように、リハビリパンツとパットを持つ。
(よしっ!)と心の中で言う。
折り紙の鶴。
めっちゃ、増えてますけど…。
スーパーの袋に大量に入ってる。
この方。
確か、100歳近いはず。
他の方は、大抵寝てる…。
一日中。
時間の過ごし方を無駄にしてない。
鶴はね。
職場に飾りたいんだって。
うちの施設。
ホスピスだから…。
みんなの病気がよくなりますように…。
って。
自分だって、がんなのに。
だけどね。
この方、すごいの!
その、がん。
良くなってきてるから!!
そして、完治したり。
かなり回復すると…。
うちの施設からは、卒業。
以前も、そういう方がいらした。
さみしいけど、嬉しいです。
ばあちゃんを、お風呂へ案内して…。
前回の失敗をしないように、準備万端。
シャンプーしながら、またシャンプーで顔洗わないように。
洗顔フォームを手にのせてあげた。
そしたらね…。
えっ?
洗顔フォームで、頭を洗い出した。
いやいや…。
今、頭を洗い終わってきれいに泡を落としたところ。
あははは…。
苦笑いしながら、もう一度頭を洗う。
身体の洗い方が、男らしい。
ばあちゃんの洗い方は…たわしで大根こすって洗うのに似てる。
痛くないのかな?
ばあちゃんがザッ、バーンと。
湯船に入ると、身体がみるみる赤くなる。
お湯の温度。
40℃位。
さっき、ちゃんと計った。
入る前にね。
身体が冷えてたかな?
ばあちゃん。
バニラアイスが大好きで、よく食べる。
「何個、食べたん?」
と聞けば、
「今日はね、2個!美味しかったー。あははは。」
と。
「それもね、夜中に食べたんだよ。」
「美味しいよねー。」
と、嬉しそうに話す。
かわいい。
夜中に食べたんですか!
と、
声を荒げる職員もいるけど…。
別に、いつだっていいじゃん。
食べたいとき食べれば。
と、
私は、思う。
私もそうだし。
家にいれば、そんな感じ。
目が覚めて、一番にアイス食べるときがあるもの。
それって、
何物にも捉われない。
自由。
常識とか、関係ない。
世間の決めたルールで生きない。
自分のルールで生きる。
たまに、というか。
うるさい職員は、自分の型に枠に…。
ばあちゃんの生き方をはめたがる。
お前とは違うから。
一緒にするな。
と、言ってもわからないのもわかっているから。
ばあちゃんが攻撃されないように守る。
それだけ。
本当の優しさとは何か?
生きる人を支える仕事とは?
きっと、そいつと私では意味が違う。
私が思う優しさは、自由を奪わない。
私の仕事は、その人のできることを奪わないことなのだ。
うるさい職員も私もばあちゃんも。
みんな、違う人間。
同じではない。
そこを認める。
尊重する。
自分の型にはめれば、管理は楽だ。
しかし、それは…なんか違う。
自由ではない。
私にそんなことしたら、抜け道しか見つけない。
全く違うやり方、発想でやり抜く。
自分が職場で異色なのは、わかってる。
だけど、誰よりも私がみんなから好かれていることを職員は知ってる。
出勤すれば、一発ギャグ。
朝から、しらーっとした空気が流れる。
これでよし!
滑ってなんぼ。
これで、時間がずれる。
ずれると、悪い空気の流れが変わる。
計算してやっていたわけではない。
段々、わかってきたのだ。
私が、得意なのは場の空気を変えること。
今は、浄化できる人を目指している。
だから、お笑い芸人目指してる。
私にとって、お笑いは浄化なのだ。
いつ、亡くなるかわからない方々。
その方たちの心が笑ってスッキリして、
軽やかになって。
魂が喜んでくれたら、嬉しい。
それだけなんだ。
ばあちゃんの折り鶴と、
形は違うけど同じ。
だから、私ね。
ばあちゃん、大好きです。
ばあちゃんの身体は、桜色になったから今日は早く出ようね。
「出るよ」
と私が言えば、
「もうちょっと、もうちょっと…」
と、気持ちよさそうに入っている。
わかるよ。
私だって、そうしたい。
でも、のぼせたら心配なんだ。
転んでけがしたりしたら…。
取り返しが付かない。
歩けなくなる。
そういう人。
何人も見てきたから。
私。
めちゃくちゃ、心配性です。
「もうそろそろいいんじゃない?」
「お風呂出たらさ、アイス食べようよ。」
と誘う。
「いいね。食べるか。」
笑顔で重い腰を上げてくれる。
良かった。
そして…。
アイスは、冷蔵庫にあるのか?
なかったら、コーヒーでも入れてあげよう!


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