レインボー (第一部)

不思議

私の忘れられない記憶の中で…思い出そうとするだけでも涙が出てしまう。

今までの人生。

本当に、いろいろなことがあった。

振り返ってみても、決して同じ日は一にもない。

それはきっと、誰でもそうだ。

私には、生まれていたらもう一人、息子がいた。

二番目の子が、まだ3歳の頃。

私の足の下をくぐって遊んでいた。

いつでも、どこでも。

私が、スカートをはいていてもお構いないし。

それをみていた私のおばが、「あんた、子供ができたんじゃないの?」と。

笑いながら言う。

たぶん、わかっていたんだと思う。

「おれ、お兄ちゃんになるんだ!」と嬉しそうだった。

妊娠当初から、つわりはほとんどない。

噓みたいだった。

一番目の子の時は、酷かった。

車の運転しながら、バケツを抱えていた。

妊娠、9か月くらいまではあった。

二番目は、食べつわり。

ポケットにおにぎりを持ち歩き、気持ち悪くなると食べていた。

そういえば、梅干しのおにぎり。

二番目の子が大好きな食べ物の中に、梅干しがある。

三番目は…

つわりはなかった。

そして、何回か目の定期診察の時、心音が聞こえない。

やはり。

前日、お腹が冷たくなっていくのを感じていた。

私は、一生懸命温めた。

でも、変わらない。

誰にも言えずにいた。

8月15日。

その日は、家族で花火大会を見に行った。

花火は、きれいだった。

子どもたちは、空に咲く大輪の花を寝転がりながらみていた。

翌日、病院での診察に「残念ですが…。」と言われ、頭は真っ白。

いつもなら、下の子を連れて病院へ行くのだが、

その日に限って一人で行った。

私は、せめて息子がこの世に存在した証が欲しかった。

「先生、子どもの形見が欲しいです。」

と泣きながら言ったが、

「残念ですが、それは無理です。」

息子は、肉の塊になってしまったそう。

私は…。

たぶん、泣きながら帰った。

数日後、お腹の息子とお別れをする日が来た。

前日。

土砂降りの夕立。

雨が上がると、きれいな虹が見えた。

大きな虹。

子供たちと三人で並んでみていた。

いつまでも、いつまでも。

見えなくなるまで。

私は、虹を見ると息子を思い出す。

ホースで水巻をしている時。

外灯の周りに虹が見えるとき。

雨上がりの虹。

雲の合間に見える虹。

息子が帰ってきてくれたように思うのだ。

私の切ない思い出。

私の息子たち。

三番目が亡くなった事実に、ガッカリしていた。

特に、二番目は。

泣き叫んでいました。

本当に、楽しみにしていたのです。

生まれてきたら、自分の大事なおもちゃを貸してあげるんだと。

生んであげられなくてごめんね。

今でも、思い出すと…なみだは止まりません。

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