田舎のバスと黒い犬(第二部)

不思議

私は、三番目が亡くなってからの一年間。

身体が辛くて仕方なかった。

だるいし、重い。

すぐにつかれてしまう。

たぶん、今まで生きてきた中で一番しんどかった。

今思えば…命の重さ。

それを体感させてくれていたんだと思う。

私は、子供たちが寝静まるといつもないていた。

こんなにも悲しいと思うことはなかった。

ある晩。

夢を見ていた。

ここは、ど田舎。

昔のおんぼろバスに、小さい男の子がお行儀よく、ちょこんと座っているのが見えた。

サッカーのユニフォームを着て。

サッカーのシューズにボールを持っていた。

顔は、長男の小さいころにそっくりだった。

私は、誰だかわかり…バスに乗ろうとしたが、発車してしまった。

それからは、夢中でバスを追いかけた。

バスはゆっくりだが、どんどん行ってしまう。

それでも、諦めずに必死で追いかける。

あるところまで来ると、バスを見失ってしまった。

そこには、杭が打たれてとげとげある鎖がロープのように張られていた。

それは、境界線のようだった。

バスが境界線の向こうに行ったことは間違いないと確信があった。

私が、その鉄で出来ているロープをくぐろうとしたときのこと。

真っ黒い、大きな犬がどこからともなく現れた。

その犬は、ロープの向こうにいる。

目を光らせて、よだれを飛び散らして、狂ったように吠える。

こっちに入ってくるな。

そういった、威圧感があった。

私は、どうしてもどうしても…ロープの向こう側に行きたかった。

バスの男の子は、三番目の息子に間違いなかった。

私にはわかる。

あの子が着ていたシャツは、私が、長男に買ってあげたもの。

靴は、おばが、やはり長男に買ってくれた。

だけど、長男は。

「すぐるが生まれてきたら、あげるんだ。」って。

うれしそうに言ってたものだ。

今でも覚えている。

白地にブルーの渕がはいっているTシャツ。

同じ色の半ズボン。

それから、黒のサッカーシューズ。

白と黒のサッカーボールを抱えていた。

そう。

私が、将来買ってあげようと思っていたものだ。

夢の中では、場面が変わった。

私は、私よりも頭一つ大きなスラッとした女性に抱きしめられていた。

髪は、天然パーマで、一つにしばっていた。

彼女は、私よりも年上に見えた。

「つらかったね。」

彼女は、そう言って、私と一緒に泣いてくれた。

見たことない、知らない人。

でも、あたたかいこの感覚は私の知っている人。

彼女は、いつも私のそばで見守ってくれている人。

「ありがとう。」

そう言って、目が覚めた。

すぐるが亡くなってから、49日目のことだった。

あぁ。

すぐるは、本当に、虹の向こうに行ったんだと。

思いました。

私の体調は、少しづつ回復して行きました。

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